毎年10月はノーベル賞が発表されるのですが皆さん、イグノーベル賞(Ig Nobel Prize)を知っていますか?
イグノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせる」研究に対して贈られる賞です。この賞は、ハーバード大学の科学ユーモア雑誌「Annals of Improbable Research」によって1991年から毎年主催されています。
主な特徴としては通常の科学賞とは異なり、一見すると奇妙や無意味に思える研究に焦点を当てていますが。多くの受賞研究は実際に科学的な価値を持っており、新しい視点や発見をもたらすことがあります。また、イグノーベル賞は、科学の面白さや創造性を広く一般に伝える役割を果たしており、科学コミュニケーションの重要な要素となっています。
毎年10グループの受賞者が発表されます。日本人もよく過去に受賞されていますが今年は東京医科歯科大学の武部貴則教授のチームが選ばれています。授賞式は9月にアメリカ最高峰の大学の一つであるMITで行われ、東京医科歯科大学のチームも授賞式に参加されたようです。
授賞式の様子はこちらから録画を見ることができます。
日本人も好きな授賞式なのでニコニコ動画でも配信されていたようです。
イグノーベル受賞者たちは本物の(!)ノーベル受賞者達からギフトと賞金を手渡されます。賞金はなんと10兆ドル!!!!ただしジンバブエドルです。現在1米ドルは約35京(3.5 x 10^16)ジンバブエドルですので10兆ドルでもおよそ0.03セント。これもイグノーベル賞特有のユーモアなのです。賞品と賞金が渡された後、受賞者によるスピーチがあるのですが長すぎると子供が出てきて「つまんない!!!」と叫び強制終了させられます。これもイグノーベル賞授賞式の恒例行事なのです。
武部貴則教授のグループの受賞論文はこちらから読めます。
「哺乳類動物の腸管からの換気は呼吸不全を改善する」と言う論文が受賞研究です。
うなぎなどの海洋生物は低酸素状態になると生き残るために腸管で呼吸できるようになる仕組みがあるそうです。医科歯科大のチームは魚類だけなく哺乳類動物も、ある条件下では肛門から呼吸できることを発見したのです。将来的にはECMOなど人工呼吸器システムの代わりに使える可能性も示唆しているとても将来が楽しみな研究です。
実用化にはまだほど遠いでしょうが、イグノーベル賞の「人々を笑わせ、そして考えさせる」研究に対して贈られる賞と言うことからぴったりであった受賞と思います。
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